和解の申し入れ


冷戦もついに6日目を迎えてしまいました。
最近、弁当を隠しまくって食べている私の行動が怪しすぎると言う事で、夫婦の冷戦状況が会社の人にバレてしまいました。

会社でアドバイスを求めると、「君が素直に(?)奥さんに
謝罪し、お詫びの品としてケーキでも買って帰ればよいよ」との事。

私もそこまでやれば、今の現状は打破できるということぐらいははわかっています。
ですが、そもそも私には謝る理由が無いのです。喧嘩を吹っかけたのは妻の方なのです。夫婦条約を一方的に破ったのも、ここまで冷戦を長期化させているのも向こうです。

どう考えても正義はこちらにあるのです!
「大義は西軍にあり!」関ヶ原の合戦での石田三成の魂が時を越えて私に乗り移ります。

・・・ですが、私も30歳。いい大人です。
大義だけでは勝てないということもわかっています。
・・・どんなに正義がこちらにあっても、
戦時弁当を隠れて食べているのはこちらなのですから。さらに子供達の事も気にかかります。

このような状況にあって、こちらからの
「和解」(謝罪では決して無い)の申し入れは負けた気がするのですが、この緊急事態では仕方がありません。諸先輩のありがたい忠告に従ってケーキでも買って帰ることにします。

・・・というわけで、今日に限っては残業する素振りすら見せず、定時で車に乗り込みました。買うからには一番でかいケーキ買って妻の度肝を抜いてやることにします。

・・・と車のメーターを見るとガス欠寸前だったので、急遽レギュラー3,000円分入れてもらいました。

少し寄り道になりましたが、これで心機一転。改めてケーキ屋の門をくぐり、勝負開始です。
楽しそうにケーキを選ぶ高校生に混じって、30過ぎたおっさんが真剣にケーキを選ぶ。周りには奇異な光景に見えるかも知れませんが、もうすでに妻との対決が始まっているのです、手など抜けるはずがありません。

30分ほど迷ったでしょうか、やっと2,800円のホールケーキに決め、会計を済ませようと財布を開いたその時

・・・残金30円。

目の前には、箱に詰められた2,800円のホールケーキと笑顔の店員さん。後ろには順番待ちの高校生。
まさに八方塞がり、四面楚歌。

「・・・あれー。財布車の中に置いて来ちゃったな。」元演劇部とは思えないほどの大根役者を披露しながら、店から逃げ出しました。

・・・もし妻との冷戦が解消されたとしても、とりあえず1年間はあのケーキ屋には出入り禁止です。

言う事は威勢があっても、詰めが甘く最後の最後で凡ミスを
繰り返す俺・・・。

・・・妻の私に対する怒りの原因がほんの少しわかった気が
しました
_| ̄|○

・・・冷戦はまだまだ続きます



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